
何が問題なのか
患者のベッド脇には離床センサーマットが設置され、ケーブルも制御装置につながっています。しかし、画像だけでは次の点を確認できません。
- 電源が入っているか
- 患者に合った設定になっているか
- ケーブルが正しく接続されているか
- 設置後に実際の作動確認を行ったか
つまり、センサーマットが置かれていることと、患者の離床を確実に検知できることは別です。
この画像では「電源が確実に切れている」とまでは断定せず、電源OFF、設定不備、接続不良、作動確認漏れなどにより、センサーが機能しない可能性がある場面として考えます。
このあと何が起こり得るのか
センサーが正常に作動しない状態で患者が一人で起き上がった場合、離床を検知できず、スタッフの対応が遅れるおそれがあります。
その結果、
- ベッドから立ち上がる際の転倒
- ベッドからの転落
- 骨折、打撲、切創などの外傷
- 発見や治療の遅れ
- 入院期間やリハビリテーションへの影響
につながる可能性があります。
日本医療機能評価機構の分析では、2020年1月から2022年9月までに、電源の入れ忘れや使用方法・設定の誤りによって離床センサーが作動せず、患者が転倒・転落した事例が55件報告されています。そのうち37件は電源が入っていない事例で、骨折が記載された事例も38件ありました。
なぜ起こりやすいのか
離床センサーは、患者の移動やケアのために一時的に停止・解除することがあります。その後、患者をベッドへ戻したことでケアが完了したと思い、電源や作動状態の復旧確認が抜けることがあります。
実際の報告では、電源を入れ忘れた場面として、患者の帰室後、センサーの再設置後、排泄介助後、配膳・下膳後、勤務交代時などが挙げられています。
また、次のような背景も考えられます。
- マットと装置が置かれているため、作動していると思い込む
- 患者の体位や寝具を整えることへ注意が向く
- 中断やナースコール対応によって作動確認が抜ける
- 電源を切った人と患者をベッドへ戻した人が異なる
- 「誰が復旧確認するか」が明確でない
これは個人の注意力だけでなく、一時停止後の復旧手順や役割分担の問題として考える必要があります。
改善策
センサーを設置・再設置したとき
- 電源、ケーブル接続、設定、表示灯を確認する
- マットを実際に踏むなど、施設や機器の手順に従って作動確認を行う
- センサーがナースコールなどの通知先へ正しく連動するか確認する
- 作動確認が完了してから患者のそばを離れる
日本医療機能評価機構も、離床センサーを設置した際の作動確認と、訪室時の電源確認を対策として示しています。
患者の移動やケアのあと
- トイレ、検査、リハビリテーションなどから戻った際は、センサーの復旧を確認する
- 一時停止機能がある場合は、施設のルールと機器の使用方法に従う
- 電源を切った場合は、誰が再開するかを明確にする
- 交代時には、センサーの使用目的と現在の作動状態を申し送る
センサー以外の対策
離床センサーだけに依存せず、患者の状態に合わせて、
- ベッドの高さ
- ベッド周囲の環境
- ナースコールの位置
- 履物
- 排泄のタイミング
- 見守りや訪室の方法
も併せて見直します。
まとめ
離床センサーマットは、置いただけでは安全対策になりません。
設置後や患者の帰室後には、電源・接続・設定だけでなく、実際に通知されるところまで作動確認を行います。
参考資料
- 公益財団法人 日本医療機能評価機構「医療安全情報 No.197 離床センサーの電源入れ忘れ」
- 公益財団法人 日本医療機能評価機構「第71回報告書 離床センサーが電源の入れ忘れや使用方法の間違いにより作動しなかった事例」