
清拭中、ベッド上に残した袋入り温タオル
何が問題なのか
清拭や保温のために使用する袋入りの温タオルが、患者の体位変換を行うベッド上に残ったままです。
このまま患者を側臥位へ動かすと、患者の腰部・臀部・大腿部などがその袋の上に乗り、皮膚が持続的に接触する可能性があります。
一見すると、看護師2人で通常どおりに体位変換をしているだけに見えます。
しかし、患者がこれから動く先に、温めた物品が残っていることが問題です。
このあと何が起こり得るのか
このまま体位変換すると、患者が袋入り温タオルの上に乗ってしまい、
- 皮膚の発赤
- 熱傷
- 長時間の接触による低温熱傷
- 疼痛
- 皮膚損傷による処置や経過観察の追加
- 高齢者や感覚低下のある患者では発見の遅れ
につながるおそれがあります。
特に、高齢患者や、反応が乏しい患者、苦痛を訴えにくい患者では、熱さをすぐに伝えられず、接触時間が長くなりやすい点が危険です。
なぜ起こりやすいのか
この場面では、看護師の注意が患者の身体を安全に支え、体位変換することへ向いています。
そのため、清拭で使った物品を一時的にベッド上へ置いたままでも、その回収確認が抜けやすくなります。
起こりやすい背景としては、
- 清拭や保温の途中で物品を一時的にベッド上へ置く
- 2人介助では、互いに「もう片方が確認しただろう」と思いやすい
- 体位変換そのものに集中し、患者が動く先の寝具面確認が抜ける
- ナースコールや他の業務中断で、物品回収の手順が飛ぶ
- 温タオルは清拭物品に見えるため、危険物として意識されにくい
といったことが考えられます。
改善策
体位変換前
- 患者が動く先のベッド上に物品が残っていないか確認する
- 清拭や保温に使った温タオル、袋、洗面器、物品はベッド外へ移す
- 「患者の下に入る物がないか」を声に出して確認する
- 2人介助時は、体位変換前確認の担当を曖昧にしない
清拭・保温時
- 温めたタオルは必要時のみ取り出し、不要時は患者の寝床面へ置かない
- 温度確認をしたうえで使用する
- 高齢者、感覚低下、意思表示しにくい患者では特に接触時間へ注意する
- 「あとで使うから」とベッド上へ仮置きしない
体位変換後
- 皮膚に発赤や熱感がないか確認する
- 患者が熱さや痛みを訴えていないか確認する
- 物品残置があった場合は、同様の再発を防ぐため手順を見直す
まとめ
体位変換では、患者の身体だけでなく、患者がこれから動く先の寝具面も確認する必要があります。
今回の場面では、清拭用の袋入り温タオルがベッド上に残っています。
このまま側臥位へ体位変換すると、患者がその上に乗り、熱傷や低温熱傷を起こすおそれがあります。
参考資料
- 日本医療機能評価機構 医療安全情報
「温めたタオルによる熱傷」